2025年11月27日、Google主催の「Data & AI Summit '25 Fall」に参加してきました。
この度、弊社でも「データ活用」について本格的に取り組んでいこう!という方針になり、ひっそりとプロジェクトが始動。最初は「ゆる〜く、できるところから」という感じで進めていたのですが、ある日、Google主催の「Data & AI Summit '25 Fall」が開催されるという情報を聞きつけました。
「データ活用の最新トレンドを抑えておかねば!」ということで、軽い気持ちで参加してみたのですが、これが大正解。想像以上に良い話がたくさん聞けました。
Data & AI Summit '25 Fallとは?
イベント名を見ておおよそお察しかと思いますが、本講演の主題は「AIエージェント」についてです。ハイブリッド開催でのイベントで、参加人数は約3,000人と大盛況でした。私は現地参加したのですが、講演によっては行列ができていたり、席が足りず、立ち見参加する光景も。データ活用とAIへの注目度の高さを肌で感じました。
当日のタイムテーブルはこんな感じ。
https://cloudonair.withgoogle.com/events/data-ai-summit-25f
本記事では、基調講演と特に印象に残ったセッションをレポートします!
基調講演:データ エージェントと "共創" する時代へ - AI-Ready データ基盤による次世代のデータ分析
基調講演は、Google Cloud 濱田さんによる「AIエージェントに求められる3つの要件」から始まり、ライオン株式会社、株式会社メルカリが取り組むデータ活用の事例、そしてGoogleのテクノロジー部門による「会話型分析のデモ公開」といった3本立てでした。
◼︎AIエージェントに求められる3つの要件
濱田さんからは、AIエージェントを本格導入し業務を担わせるために必須となる「Action(能動性)」「Memory(記憶力)」「Context(信頼性)」の3つの要件について発表がありました。
Action:AIエージェントは受動的ではなく、能動的にアクションを起こすべき。
ここで重要になるのが「思考プロセスの透明性」です。分析の透明性の向上には、一連のフローを段階的に分けて行う「Advanced Reasoning」の概念が鍵になるという解説でした。
Memory:AIエージェントが有効に機能するための「短期記憶」と「長期記憶」。
企業が保有するデータにリアルタイムにアクセスできるという「長期記憶」の解説では、音声入力でAIエージェントとコミュニケーションを取り、商品注文を行う事例が紹介されました。従来のタップ式の操作よりもはるかに速く、もうここまで身近な存在になりつつあるんだな、と再確認させられました。
Context:回答の信頼性を担保するためにはコンテクストが必要不可欠。
正しいデータベースや計算式へ導くための「セマンティックレイヤー」の重要性について説明がありました。
セマンティックレイヤーについては、以降の講演でも耳にする機会が多く、さらに注目度が高まってきていると実感しました。
◼︎データ活用の事例紹介
ライオン株式会社からはデータ基盤構築に関する発表、メルカリ株式会社からはデータの民主化に向けた取り組みの紹介がありました。
特にデータの民主化に関しては、身近な内容ということもあり印象に残っています。AIエージェントの導入により、アナリストの領域とされていたデータ活用を、誰もがデータにアクセスできるようにする体制づくりは、弊社も見習いたいものがあります。
後日社内で行った共有会でも、早速取り入れていきたいという話をしていました。
◼︎会話型分析のデモ公開
「Conversation analytics agent in BigQuery」を例に、会話型分析エージェントのデモが紹介されました。
BigQueryは軽く触っているものの、自然言語でデータ分析ができるようになっているとは知らず、まさに目から鱗です。Gemini提案によるデータ精度の向上やゴールデンクエリの自動生成など、サポートも充実しており、設定も比較的簡単にできるんだなと感心しきりでした。
Conversational Analytics API 先行実践! BigQuery に眠るデータを「自然言語」で引き出す AI エージェント構築術
アイレット株式会社による発表で、「Big Query」と「Conversational Analytics API」を組み合わせた、チャット形式でのデータ分析の事例紹介がありました。
サイト内のデータをBigQueryに蓄積し、Conversational Analytics APIにクエリ実行や分析業務をまるっと委託するという内容でした。日常的に使うコミュニケーションツールからAIエージェントにアクセスできるようにすることで、誰でも簡単にデータ活用ができるという環境を構築されていました。
まさに基調講演で話されていた「データの民主化」を体現する内容で、構成も非常にシンプル。早速弊社でも取り入れていきたいと思いました。
自分で実装してみたい気持ちは山々ですが、現実的なスキルを考えると何年もかかってしまいそうなので、ここは弊社のエンジニアさんにお任せしようと思います!
手順は最小限!Google トレンド連携 AI エージェント × 商品マスタとのコラボ
イオンスマートテクノロジー株式会社による講演で、「商品マスタデータ」に対して、AIをどう活用しているかという、実店舗を持つ企業ならではの取り組みの紹介がありました。
発表のテーマは、「曖昧検索の解消」と「トレンドとの自動マッチング」の2つのチャレンジです。いずれの内容も「Google Vertex AI Search」を利用した構成となっていました。
— AIを用いた商品マスタでの曖昧検索
実店舗を持つ企業ならではの悩みとして、お客さんからの具体的な商品名のない曖昧な質問を例にお話しされていました。従来のシステムは「完全一致」を要求するため、人間は簡単に答えられる質問が、システム側では大きな壁となってしまうという課題に対して、AIによるアプローチを試みたという取り組みです。
デモ画面では、インターネット検索のような曖昧な入力に対しても、ビッグデータから適切な商品情報を即座に出力するシステムが紹介されていました。仕組みはあまり理解できませんでしたが、会社単位でここまでできるのかと、ただただ感動しました。
— トレンド把握と商品データとの自動マッチング
お客様のニーズ発生から、実際に店頭に商品が並ぶまでのリードタイムを短縮することを目的に、外部のトレンド情報を即座にキャッチし、それを自社の商品データと自動で結びつけるツールの検討をしているというお話でした。
これもまた先進的な技術のお話で、すごく面白かったです。弊社のサービスにどう活かせるかはまだイメージできていませんが、「Google Vertex AI Search」も個人的に触ってみたいなと思いました。
まとめ
印象に残ったセッションのみピックアップしてのご紹介となりましたが、いかがでしたでしょうか?当日に受けた「データエージェントがもたらす革新」の感動を、少しでも共有できていたら嬉しいです。
正直、データ活用についてはゆるゆると進めていた部分もありましたが、このサミットに参加したことで、「この波に置いていかれないように本格始動しないと!」と改めて思える、非常に良い機会になりました。
まずは、今回何度も重要性について説かれていた「データやセマンティックレイヤーの定義」から始めていこうと思います。
新卒入社からの成り上がりディレクターとして現在奮闘中!デザインから広告運用まで、あらゆる分野を制覇するマルチタレントを目指して日々挑戦中です。仕事ではスマートなディレクションを目指す一方、プライベートでは家という名の要塞で引きこもりライフを満喫中。アニメが好きだったりする。
ハンダちゃん
Webディレクター / 2022年入社